「忘れられた童話(ピアノ弾き語り構成)」(オリジナル) | ユークリッド空間の音

「忘れられた童話(ピアノ弾き語り構成)」(オリジナル)

15年くらい前にピアノ弾き語りの形式で

作った曲を

動画にしてみました。

 

また歌声部はバイオリンで作っております。

 

 

 

歌詞は2023年に大幅に変えました。

少しペシミスティックな内容に

光を持たせようと頑張りました。

 

またお時間のある際に聴いて頂ければ幸いです。

 

 

<歌詞> 

 

 昔々 とある国の 美しいお姫様に

 見習い召使いが 熱烈な恋をした

 

 恋文をしたためて 「無礼者」と破り捨てられ

 斬首形に処せられた 物語は 誰も知らない

 

 地位も名誉も残せなかった男が 残したものは

 街外れの寂れた野原の 墓石(はかいし)に刻まれた名前

 

 忘れられた童話 誰(だあれ)も知らない物語

 千年図書館の 隅に押し込められた蔵書

 掠れた題名は 誰(だあれ)に読ませるためのもの

 手に取られなくとも 語り部の詩(うた)は遺りゆく

 

 

 小学校の卒業式 記念碑に残す手形

 恥ずかしいと逃げ出した わたしの手形だけ見つからない

 

 大人になり損ねた足で ひとり石碑を蹴飛ばしたら

 手形たちに嗤われた 「お前の不在は刻まれてる」

 

 鳥も 草木も 路傍の石も 総てが語り部になる

 この身を騙し続けた過去に 騙されないかを見つめてる

 

 忘れられた童話 誰かが読んでる物語

 時を渡る船に 乗り合わせた旅人の談話

 照れ隠しの嘘は 誰(だあれ)にごまかすためのもの

 嘘を許す瞳 その瞳ぞ 忘れられぬ詩(うた)

 

 

 王子様に生まれなくて 正義の戦士にもなれなくて

 寝坊で勉強を投げ出して それでも止まらない物語

 どうせ読まれぬ話なら わたしなどいなくていいじゃない

 世界に背中を向けようと 隠れたらわたしに見つかった

 

 「わたしのいない世界など記せまい」

 

 

 栄光も恥辱も 積み上がり綾なす物語

 主役ただひとりが 揺り籠から墓場までを知る

 次章のタイトルがわかるのはこの瞬間でだけ

 ハッピーエンドだとわかるのは最終章でだけ

 

 忘れられた童話 誰もが持ってる物語

 永久(とわ)の砂時計の 砂の一粒として流れる

 落ちてゆく刹那の 光は誰にも見えずとも

 黄金(こがね)の砂山に積もり 数多の童話を繋ぐ